2011年12月24日

chara_amaha

「ぬ……ぬぎぎぎぎぎっ……!!」

押入れの奥の、さらに奥にしまい込んでいた大きな箱を、
力を込めて引っ張り出す。
だけど、どれだけ引っ張ってみても、
なかなかそれは出てこなくて……
「ぬっ! やっと出てきそ……ぬ、ぬわわっ!?」
あともう少しで取り出せる!と思ったところで、
俺は思い切り後ろに尻もちをついてしまった。
隣りでずっと心配そうに見守っていた彼女が、
あわてて『大丈夫!?』と俺を支え起こしてくれる。
ぬはは~、ちょっち失敗……。
だけど、無事に箱を取り出すことには成功した!
箱を開けると、もうずいぶん長いこと使っていない
クリスマスツリーが、昔に見たままの姿で納められていた。
「よかった! やっぱりここにしまってあったんだ。
 よ~し、それじゃあ2人でツリーを飾るのだ~!」
俺の言葉に、『おー!』と拳を上げてはりきる彼女。
たったそれだけの行動にも、愛おしさがあふれてくる。
ツリーと一緒に入っていた、
オーナメントがたくさん入った袋を取り出すと、
彼女はわぁっと顔を輝かせた。
「じゃあ、俺は星型のオーナメントを飾っていくから、
 君はリンゴ型のオーナメントを飾ってね。
 君のぷくぷくなほっぺたと同じ色なのだ」
俺が言うと、彼女はちょっとむっとしたように頬を膨らませる。
あれれ、何でだろう?
ぷくぷくって言い方がよくなかったのかな?
「ぬわわ~、怒らせちゃってゴメン!
 でも、本当にそっくりだよ。ほら……」
俺は彼女のほっぺたに、そっとキスをする。
するとそのほっぺたは、みるみる赤くなっていって……
「ほら、このリンゴ型オーナメントと同じ色なのだ!
 なんなら鏡を持ってこようか?」
立ち上がる俺を、彼女はあわてて抑え込む。
ぬ~? ちゃんと教えてあげようと思ったのに、変なの。
俺は首を傾げたけど、真っ赤になった彼女が
『早くツリーを飾っちゃおう!』と急かすので、
元気よく頷いて従った。
――それから数十分後、
俺達はオーナメントを全て飾り終えた!
「それじゃ、電気点けるよ~!」
スイッチをオンにすると、ツリーに巻かれたライトは
赤、青、黄色……と様々に色を変えて、優しい光を放つ。
『キレイ……』とため息のように呟きながら、
うっとりとツリーに見入る彼女。
うん、確かにツリーもすごくキレイ。だけど……
俺は彼女をそっと後ろから抱き締めて、
ほっぺたにキスをする。
驚いて俺を見る彼女。
そのほっぺたの色は……
やっぱり、リンゴとおそろいだ。
「クリスマスパーティの準備も出来たし……
 もうちょっとだけこうしてていい?」
尋ねながら、もう一度キスを贈る。
『……聞きながらキスするなんて、ずるい』
呟こうとする彼女の唇を、俺の唇で封じて……
俺は、彼女の肌のいたるところを
リンゴ色にする遊びで楽しんだ。