2011年12月24日

chara_shiranui

今日は、恋人達のクリスマス。


冬の大イベントの一つ!
自称幸せカップルの俺達も、
当然その世間のイベントに興じ、はしゃいでいる……
はずだったのだが。
俺の最愛の恋人は、俺の腕に抱かれたまま、
うつむいて塞ぎこんでいる。
なんでこんな状況の中で、
あいつがこんなに落ち込んでいるかといえば――
その理由はこうだ。
あいつは、俺と2人きりのクリスマスを過ごすことを、
数週間前から本当に楽しみにしていた。
そしてクリスマス当日の今日、
俺の部屋にわざわざケーキの材料を持ち込み、
一生懸命ケーキ作りに奮闘していた。
だが、案の定というか、予想の範囲内というか……
ケーキとなるべき物体は、黒い謎の塊と化していた。
そんなわけで、俺は落ち込むあいつを抱きしめ、
あやしているわけだが……
「お前が俺のために頑張ってくれた事は
よくわかってるから、気に病むんじゃない」
それは俺の心からの気持ち。
だが、あいつの沈みきった心を浮上させるには、
まだまだ足りない様子で。
あいつは俺の腕の中で、
黙ってふるふると首を横に振るばかり。
どうしたら、この真面目で頑固な恋人のご機嫌を
取り戻すことができるんだろう。
……言葉で足りないというのなら、
行動で示すしかないよな?
俺はあいつを抱きしめていた腕を、ぱっと離す。
不思議そうに、わずかに顔を上げるあいつ。
その瞬間を見計らって……
俺は彼女の頬に触れ、唇にキスを落とした。
俺のキスから逃れようと、
引き気味になるあいつの腰を、少し強引に抱き寄せる。
そしてもう片方の手で、
抵抗しようとするあいつの頭をぐっと支えた。
何度も迫る俺のキスに、
あいつは少し苦しそうな息を漏らし……
やがて抵抗する力をなくして、
おとなしく俺のキスを受け入れ始めた。
そこで俺は、改めて、あいつの体から手を離す。
俺から解放されたあいつは、
困惑した表情で俺を見つめる。
だけど、その頬は赤く染まっていて……
そこから、あいつの気持ちも高まっていた事を知る。
その顔を見てもう一度抱きしめたい衝動に駆られたが、
今度はそれをガマンする。
「今のは、お前の頑張りに対する俺の感謝の気持ちだ」
そう言い切ると、あいつは言葉に迷った様子を見せた後、
『乱暴すぎます』と小さな声で呟いた。
「嫌だったか?」
自分でも意地が悪いなと自覚しつつも、そう尋ねてみる。
俺の予想通り、彼女は戸惑った表情を見せた後……
真っ赤な顔をして、首を横に振った。
俺は笑いながら、もう一度彼女を抱きしめる。
「俺がどんな言葉を伝えてもお前は受け入れないから、
行動で示させてもらった。
俺の気持ちは伝わったか?」
今度は頷くあいつ。
『ごめんなさい』と謝るあいつの頭を撫でて、
俺はにっこり笑ってみせた。
「ケーキは残念だったけど、
それで俺達2人のクリスマスは終わらない。
むしろこれからだ。
だからほら、いつまでも申し訳なさそうにしてないで、
笑ってろ!」
俺の言葉に、あいつは戸惑いつつも、
一生懸命笑顔を見せようとしてくれて……。
その頑張りが可愛くて、
俺はご褒美代わりにもう一度、あいつの唇にキスをした。