2011年12月24日

chara_nanami

今日は、年に一度のクリスマス。

クリスマスといったら……
や、やっぱり付き合ってる男女としては、
どうしても外せないイベントだよな、うん……!
というわけで、俺も世のカップルの例に倣って、
あいつと2人きりで会う約束をした。
って言っても、クリスマスデートって
具体的にどうしたらいいかわからなかったから……
羊や錫也に、それとな~く聞き込みをしてみたり、
雑誌やテレビで『クリスマスデート特集!』なんて文字を見付けたら、
必ずチェックしたりして……
俺は完璧なデートを作り上げた。
……と思ったはずだった。
一日のデートを終えて……
あいつは今、俺の部屋のベッドに腰掛けている。
だけど……
クッションを抱えるあいつの表情が、どこか曇ってる。
(……何がいけなかったんだ?) 
一緒に見たアクション映画が幼稚すぎた?
やっぱり恋愛映画の方がよかったのか?
晩ご飯はもっと無理して高めのレストランへ行くべきだった?
考えれば考えるほど、あいつの気持ちがわからなくなる。
それどころか、どんどん深みにハマって、
ますますわからなくなって……
ダメだ、もう降参だ。
「なぁ……何をそんなに暗くなってるんだ?」
観念した俺は、直接本人に理由を尋ねる。
すると……あいつは、
俺の質問に驚いたように、ぱっと顔を上げた。
(……え?)
なんでそんな反応をされるのかわからなくて、
俺はますます戸惑う。
「だって、お前今日ずっと顔うつむいてるし、
 あんまりしゃべらねぇじゃん。
 何か不満があるから、そんな風にしてるんだろ?」
俺が言うと、あいつはあわててブンブンと首を横に振った。
そしてあいつは言う。
『不満があるわけじゃない。
 今日のクリスマスデートが楽しみで、
 ずっと眠れなかったの……』と。
「は?」
あいつの顔を覗きこむと……
目の下に、うっすらとクマが出来ていた。
……なるほど、こういうことか。
「バーカ、そんなの全然気にならなかったっつーの。
 お前、ちょっと神経質すぎるんじゃねぇの?」
俺が言うと、クッションでバコっと殴られた。
そして、あいつは恥ずかしそうに口を開く。
――俺の前では可愛くいたい。
だから、顔を見られたくなかった……って。
「……お前は、ほんっと……」
俺は熱くなる頬を抑えながら、あいつにぐっと詰め寄った。
「……ずっと、今日のクリスマスデート
 気に入らなかったって、すげー不安だったんだぞ」
ごめん、と言い掛けるその唇を、俺は自分のそれで塞ぐ。
「罰として……その顔、
 今からずっとこの距離で見てやる。覚悟しろよ」
あわてて逃げようとするあいつの手をしっかりと掴み、
俺は目を開けたまま、もう一度あいつに唇を寄せた。