2011年12月24日

chara_kagurazaka

「うぅ……」

お腹が苦しい。
原因は……たくさん
あり過ぎて分からない。
イチゴがたくさんのったタルト?
チョコレートたっぷりのケーキ?
まさか、大きな栗がのったモンブラン?
それとも……
さくさくのフライドポテト?
こんがり焼けた七面鳥?
んー犯人はどれ?
「ったく、四季、お前は食べ過ぎだ……」
「ぬぅ~消化マシーン、胃薬君……」
「それは危ないから却下です」
よかった。助かった。
それは俺もイヤだ。
「しょうがない、胃薬を持ってくるか……」
「早くした方がいいかもよ?」
「おい、おい、大丈夫か?」
ちんまりした先生が俺を揺らす。
「うっ、うう……」
「は、陽日先生、気持ち悪いなら揺すらない方がいいと思います」
「む……神楽坂、辛そうだな」
「宮地先輩も同じくらい食べていたのに……」
本当、そう思う。
なんで……。宮地は無敵?
「クリーム師匠の場合、甘いものは別腹だからね」
「ったく、羊、お前もだろう? これだから食いしん坊トリオは」
「うーん……本当に心配だな。少し横になったら?」
東月に言われた通り、身体を横にすると
七海がまくら、土萌がブランケットを持って来てくれた。
「あったかい」
ぬくぬく、ぽかぽか。
なんだか眠くなる。
「神楽坂、眠いなら寝ておけ」
「今は宮地先輩の言う事を聞いておいた方が良さそうです」
「ふふっ、そうだね」
「そうする……」
ゆっくりまぶたを閉じる。
何も見えなくなる。
でも、寂しくない。
周りにみんないるのが分かるから……。
「おっ、来た、来た。おーい!
 生徒会長命令だ、こっちに来い」
「書記、こっち! こっち!」
誰かが近づく足音が聞こえる。
「神楽坂君が食べ過ぎて大変な事になってしまったんです。
 僕たちは後片付けがあるので神楽坂君をお願いできますか?」
誰かは目を開けなくても分かる。
「えっ、僕が彼女と一緒にいたいのに……」
「羊は力あるんだから力仕事手伝え」
「神楽坂君をよろしくな?」
きっと、彼女だ。
「よーっしゃ、片付けるまでがクリスマスパーティーだ……
 って、あれ、琥太郎センセは?」
「琥太にぃは薬取りに行ったまま帰って来ません。
 寝てるんじゃないですか?」
たくさんの足音が聞こえなくなっていく。
彼女が俺のそばに座る。
しばらくすると、ゆっくり、
優しく彼女が頭を撫でる。
『よし、よし』
微睡の中で優しく頭を撫でられ、
どんどん眠くなる。
おなかがくるしいのもいつの間にか治っている。
なで、なで、なで、なで。
ふわふわで、いいにおいで、やさしいぬくもり。
とっても、とっても、きもちがいい。
おやすみなさい、また、あした。
メリークリスマス。