2011年12月24日

chara_kinose

クリスマス、2人きりで過ごすデートを終えて、

僕は先輩を自分の部屋へと招き入れた。
「先輩は、そこで座っていてくださいね」
僕の部屋の中で、
どうしたらいいか迷っている様子の先輩に
声を掛ける。
すると、少しほっとした顔をして、
おそるおそるソファに腰掛ける先輩。
その様子が、小動物みたいですごく可愛い。
今すぐ抱きしめたくなる衝動を抑えて、
僕はキッチンへと向かう。
デート中に外で買ってきた、
ノンアルコールのシャンパンとケーキ。
シャンパンをグラスに注ぎ、
ケーキを食べやすいサイズに取り分け、
再び先輩の待つ部屋に戻る。
「それでは、乾杯しましょう。聖なる夜に」
グラスを重ね合わせ、くいっと口に含む。
『美味しいね』と微笑む先輩。
先輩が取る行動のひとつひとつ全てに
いちいちドキドキしてしまうのは、
この大して広くもない空間に2人きりでいる、という
緊張感によるものだろう。
こんなにもいちいち動揺してしまうのは
僕らしくないような気がして、不安になる。
「……先輩! ケーキの味はどうですか?」
余計な考えを振り払うように、
ケーキを頬張る先輩に尋ねてみる。
満面の笑みで『美味しい』と答える先輩。
こんなにも幸せそうな顔で食べてもらえて、
さぞやケーキも本望だろう。
こんな表情をしてもらえるのなら、
僕だってケーキになりたい……
『梓君、どうしたの?』
先輩の顔を見つめていた僕は、
突然声を掛けられてはっとなる。
何だか危ない物思いに
ふけってしまったことを反省ながら、
僕は「なんでもないですよ」と涼しい顔をしてみせる。
先輩の前で冷静を装うことに、僕はいつも精いっぱい。
自分を取り繕うことに、いつも必死になっている。
そんな僕に、先輩はなぜか不安げに眉を寄せた。
「どうかしましたか?」
僕が尋ねると、
『どうかしました?は梓君の方だよ』と先輩。
『さっきからぼんやりしてばかりだね。
 1日中遊んでたから、疲れちゃった?』
そう言って、先輩は僕に向かって手を伸ばす。
小さな手のひらが、僕の額に添えられる。
ちょっと熱いかもしれない、
と先輩は言うけれど……
そんなの当たり前ですよ、先輩。
先輩に触れられて、
熱くならないわけがないじゃないですか。
「せめてケーキを食べ終えるまでは、
 ガマンしようと思っていたんですが……」
僕は短く息を吐いて、先輩を引き寄せた。
突然のことに、僕の腕の中から
困惑した表情で顔を上げる先輩。
ああ……これはもう、限界だ。
昂る気持ちのままに、
僕は先輩の顎を持ち上げ、その唇にキスを落とす。
押し寄せるキスに、次第に荒くなっていく先輩の息。
少し唇を離すと、苦しそうな声が漏れるけれど……
止めてあげたりなんか、しませんよ?
必死に繋ぎとめていた僕の理性を解き放ったのは、
先輩なんですから。